「夢と違う」

『日向子さんは、ストーカーのような男に追い回される夢を見たんだそうです。
走って叫んで、助けを求めようとしましたが、すぐに捕まって滅多刺しにされてしまったそうです。
自分の物凄い悲鳴で日向子さんは目が覚めたそうです。

ある日日向子さんは近所の公園の側を歩いていました。
すると、なんとあの夢で見た男にそっくりな男が向こうから歩いてきました。
恐怖のあまり、日向子さんは電話ボックスに駆け込み、友人に電話をかけたそうです。

男は何もなく通り過ぎました。

安堵で胸を撫で下ろし、電話ボックスを出て、日向子さんは再び歩き始めました。
するとまた向こうからあの男がやってきたのです。

心臓は乱れ打ち、手も冷や汗でじっとりと濡れています。
しかし、近くに逃げ込む場所がありません。

日向子さんは、男の横を通り抜けました。

男はそのまま通り過ぎながら呟きました。
「夢と話が違うじゃねぇか」』

ガガッ、ピー

「猿夢」

『私は、夢を見ていました。
昔から私は夢を見ているときに、たまに自分は今、夢をみているんだと自覚することがありました。
この時もそうでした。
何故か私は薄暗い無人駅にいました。
随分と陰気臭い夢だと思いました。
すると、急に、駅に精気の無い男の声でアナウンスが流れました。
「まもなく、電車が参ります。その電車に乗ると貴方は怖い目に会いますよ〜。」
というような意味がわからないものだったのです。
少しして、駅に電車が入ってきました。
それは電車と言うよりは、よく遊園地などのある猿の電車のようなものなんです。
それに、数人顔色の悪い男女が一列になって座っていました。

私は変な夢だと思いました。
でも、自分がどれだけこの夢の恐怖に耐えられるのか、試してみたくなって乗ってしまったんです
。本当に怖くて耐えられないのならば、目を覚ませばいいと思ったんです。
私は夢の中で、これは夢だと自覚していると、好きなときに覚めることができるのです。

私は後ろから3番目の席に座りました。
辺りには生暖かい空気が流れていて、本当に夢なのか疑うほど本物のような臨場感があったんです。
「出発しま〜す。」
アナウンスが流れ、電車は動き始めました。
これから何が起こるのだろうと私は不安と期待でわくわくしていました。電車はホームを出るとすぐにトンネルに入りました。
紫色の明かりがトンネルの中を怪しく照らしていました。

私は思ったのです。
この景色は見たことがあると。
子供の頃に遊園地で実際に乗ったことがある乗り物ですし、記憶の片隅にあったものが出てきたのでしょう。
ちっとも怖いとは思いませんでした。

しかし、その時アナウンスが再び流れました。
「次は活け造り〜活け造りです〜。」
電車で次の駅を言う時のような感じで言っていました。
活け造り?魚の?と考えを巡らせていると、急に後ろから物凄い悲鳴が聞こえてきました。
振り向くと、電車の1番後ろに座っている男の周りに、ボロ布のようなものをまとった4人の小人が囲んでいました。
よく見ると、男は刃物で体を引き裂かれ、本当に活け造りのようになっていました。
強烈な異臭が辺りを取り巻き、耳が痛くなるほどの声で男は叫んでいました。
男の体からは次々と内蔵が取り出され、血塗れの臓器が散らばっていました。

私のすぐ後ろには髪が長く、顔色の悪い女が座っていましたが、真後虚で叫んでいる男がいるのに黙って下を向いていました。
私は想像を超える展開に驚いて、本当にこれは夢なのかどうか考えながら、少しずつ怖くなってきたんです。
でも、もう少しだけ様子を見てから目を覚まそうと思っていたんです。

気がつくと、男はいなくなっていました。しかし、そこには血と肉片が残っていました。後ろの女は無表情のまま一点を見つめていました。

「次はえぐりだし〜えぐりだしです〜。」
と再びアナウンスが聞こえてきました。
すると、今度は2人の小人が現れました。
ギザギザしたスプーンを後ろの女に向けていました。
次の瞬間、小人たちは女の目を抉り出し始めたのです。
無表情で静かだった女の形相は一気に痛みを堪えられない苦悶に満ちた表情になり、私のすぐ後ろで大声で叫び始めました。
目から眼球が飛び出しています。
血と、汗の匂いがしました。
私は怖くなり、震えながら前に向き直りました。
そしてそろそろ潮時だと思い始めたのです。

このまま行くと、おそらく3番目の私が次だと思いました。
怖くなり、夢から覚めようとしましたが、自分には一体どんなアナウンスが流れるのだろうと思い、それを確認してから覚めることにしました。

「次は焼肉〜焼肉です〜。」
さっきの声と同じ調子でアナウンスが流れました。
どうなるのか、大体の想像はつきました。
なので、神経を集中させて、夢から覚めようとしました。
強く念じます。
その時、「ウイーン」という機械の音が聞こえてきました。
小人が現れ、私の膝の上に乗り、変な機械みたいな物を近づけてきました。
おそらく私をミンチにしようとしているのでしょう。
そう思うと怖くなり、目を固くつぶって、一生懸命に念じました。
「ウイーン」という音がだんだん大きくなってきて、顔に風圧を感じ、もう駄目だと思った瞬間、静かになりまhした。

なんとか、悪夢から抜け出すことができたようでした。
全身汗でびっしょりになっていました。
私は、寝床から台所に向かい、水を飲んだところで落ち着き始めました。
所詮は夢だったのだと、自分に言い聞かせました。

次の日に学校で友達にこの夢の話をしました。
でも、やっぱり皆面白がるだけでした。
所詮は夢だからです。

それから4年が過ぎました。
私はこのことなどすっかり忘れてバイトなどをやっていました。
そしてある晩、急に始まったのです。
「次はえぐりだし〜えぐりだしです〜。」
あの場面からでした。
私はすぐにあの夢だと思い出しました。
すると、前回と全く同じ、2人の小人が女の目をえぐりだしています。
咄嗟にヤバいと思って、念じました。
今回はなかなか覚めません。
「次は焼肉〜焼肉です〜。」
いよいよヤバい展開になってきました。
あの時と同じ「ウイーン」という音が近づいてきます。
強く念じました。
すると、ふっと静かになりました。
どうやら何とか抜けられたようだと思い、目を開けようとしたその瞬間、
「また逃げるんですか〜。次に来たときは最後ですよ〜。」
とあのアナウンスの男の声がはっきりと聞こえました。
目を開けるとやはり、完全に夢からは覚めており、自分の部屋にいました。
最後に聞いたアナウンスは絶対夢なんかじゃないんです。
現実の世界で確かに聞いたんです。
私が一体何をしたというのでしょう。

あれから、現在まであの夢は見ていません。
次に見たときにはきっと心臓麻痺か何かで死ぬのでしょうか。
こっちでは心臓麻痺でも、向こうでは焼肉です・・・。』

ガガッ、ピー

「良い霊?」

『有名な話でございますよ?
あるときカップルが山道をドライブしてたんです。
すると、前方に子供が立っているんですって。
慌てて男はブレーキを踏みました。
助手席では女も不安そうな顔でいました。
車が停まって、外に出たんですけど、子供の姿はなかったそうです。
前方を見ると、断崖絶壁でした。
ブレーキを踏んでいなければ、車ごと落ちていたような状態だったのです。
女は言いました。
「きっとあの子は私達を助けてくれた良い霊なのね。」

その直後、背後から声が聞こえたんです。
「・・・落ちちゃえばよかったのに・・・。」』

ガガッ、ピー

「留守番電話」

『数年前、友人和哉さん(仮名)の彼女の彩子さん(仮名)が事故で死んじゃいました。
周囲からも、凄く仲が良いと言われていて、さらには近々結婚するのではないかと話されていました。
そんな時でした。
彩子さんの死に方はとても悲惨なものでした。
彩子さんが会社での仕事が終わり、和哉さんの家に寄ることを、近くの公衆電話から和哉さんの家の留守番電話に入れている時でした。
その公衆電話にトラックが突っ込み、彩子さんは死にました。

ですからね、和哉さんの電話には、
「あ、私。今から行くから待っててね。」
という彩子さんの声の後に、タイヤのスキール音が入っていたそうです。
そのあとの、彩子さんの悲鳴。公衆電話の破壊される音。
彩子さんの事故の全てが、録音されてしまっていたのです。

それからは和哉さんは仕事を辞めて、外出もせずに、見ているのが辛いほど痩せ衰えていきました。
しかし、私達は一生懸命に和哉さんを励まし続け、その甲斐があったのか、和哉さんはなんとか、
「俺がこんなんじゃ、あいつも悲しむよな。」
と立ち直り始めました。

そしてその数日後。
やはり彩子さんとの思い出が多い今の部屋は和哉さんにとって辛すぎるらしく、和哉さんは引越しをするすることになったので、仲間皆で引越しを手伝うことにしたのです。
朝から作業を始めて、夕方近くにはほとんどの物を運び終えました。
その時なんです。
突然でした。
友達の外していた電話から、あの時の留守番電話の音声が流れ始めたのです。
「あ、私。今から行くから待っててね。」

それを聞いてしまった和哉さんは真っ青になり、またふさぎこんでしまいました。
他の友達が、電話を外していた友達にを外に連れ出しました。
「なんで気を付けないんだよ!和哉、せっかく立ち直ったのに・・・。」
と少し怒鳴りました。
しかし、その友達は、ぼそっとこう言ったのだそうです。

ありえないんだよ・・・。コンセントは繋がってなかった・・・。でも、それどころかテープを先に取り出しておいたのに・・・。」』

ガガッ、ピー

お知らせ〜怪談編〜

そーちゃんアル(´∀`*)
もうすぐ夜ネ

さァて、今日のお知らせは、ここで怪談を書いていくということネ!
そこでこの機械、「怪談解説化拉苦裏(からくり)機 悲間呪(ヒマノ)」が話してくれるネ。
怪談好きのオカルトさんは見てくヨロシ☆